⾦⾕ホテル歴史館(侍屋敷)

代々東照宮の雅楽師を勤める金谷家に生まれ、自らも笙を担当する楽人であった善一郎は、ヘボン博士の進言により自宅を改造して「金谷ホテル」の前身となる「金谷カテッジイン」を21歳という若さで開業、日光を訪れる外国人が安心して泊まれる宿として評判を高めていきました。金谷家の家屋は江戸時代には武家屋敷であったことから、外国人客は「金谷カテッジイン」を Samurai House (侍屋敷) と呼んでいました。滞在したイザベラ・バードは著書の中で”こんなにも美しい部屋でなければよいのにと思うことしきりである。” (完訳 日本奥地紀行Ⅰ金坂清則訳)と書いています。善一郎と彼の家族が屋敷を隅々まで磨き上げ、清潔に保っていたことがわかります。

140年以上の間、同じ場所に保存されてきた「金谷侍屋敷」および「土蔵」は、平成26年(2014年)国の登録有形文化財となり、平成27年(2015年)3月より「金谷ホテル歴史館」として一般公開が始まりました。

日本が急速に西洋文化を受け入れはじめた明治の初期、日光に住むひとりの青年が開いた外国人のための宿泊施設がどのようなものであったのかを現代に伝える貴重な歴史文化財です。

「金谷侍屋敷」は日本最古の西洋式リゾートホテル「金谷ホテル」発祥の地というだけでなく、江戸時代の武家屋敷の建築様式をそのまま残す建築遺産でもあります。

金谷ホテル歴史館の概要

外観


  • 1888年(明治21)頃の侍屋敷

  • 現在の侍屋敷

内部


  • イザベラ・バードが
    滞在した部屋

  • バードの通訳伊藤が
    滞在した部屋

  • 四連のかまどを備えた台所

イザベラ・バードが記した日光、善一郎、金谷カテッジイン

1880年(明治13年)刊行「日本奥地紀行」(Unbeaten Tracks in Japan)

1878年(明治11年)江戸から日光を経て奥州への旅を敢行したイギリス人女性イザベラ・バードによる旅行記

旅の途中で見た日本の風景や人物の様子がひとりの外国人女性の視点で描かれ、驚き、感嘆、感動や失望までバード女史の率直な言葉で綴られています。当時の日光を知るための貴重な歴史資料でもあります。
妹ヘンリエッタ宛に出した日記風の手紙を編集したこの旅行記は1880年に英国で出版されました。

“するとまもなくして、わが宿の主人金谷が姿を見せた。とても快活で愛想のよさそうな人だった。
地面に頭を着けんばかりに深々と垂れて挨拶した。”

Letter 6 (meeting Zenichiro Kanaya)

Ito was long away, and the coolies kept addressing me in Japanese, which made me feel helpless and solitary, and eventually they shouldered my baggage, and, descending a flight of steps, we crossed the river by the secular bridge, and shortly met my host, Kanaya, a very bright, pleasant-looking man, who bowed nearly to the earth.

第九報 粕壁から日光へ

伊藤は出かけたままなかなか戻ってこなかった。その間、車夫はずっと日本語で話しかけてきたので、私は途方に暮れ、孤独感を覚えた。だが、最後には私の荷物を肩に担いで階段状の道を下りていき、俗人が通る橋を渡った。
するとまもなくして、わが宿の主人金谷が姿を見せた。とても快活で愛想のよさそうな人だった。地面に頭を着けんばかりに深々と垂れて挨拶した。

(完訳 日本奥地紀行I 金坂清則訳)

“今いる家についてどう記せばよいかよくはわからないが、日本的な田園風景の世界ではある。
家の内にあるもの、外にあるもののすべてが目を楽しませてくれる。”

Letter 7 (about Kanaya Cottage Inn)

I don’t know what to write about my house. It is a Japanese idyll; there is nothing within or without which does not please the eye, and, after the din of yadoyas, its silence, musical with the dash of waters and the twitter of birds, is truly refreshing. It is a simple but irregular two-storied pavilion, standing on a stone-faced terrace approached by a flight of stone steps. The garden is well laid out, and, as peonies, irises, and azaleas are now in blossom, it is very bright. The mountain, with its lower part covered with red azaleas, rises just behind, and a stream which tumbles down it supplies the house with water, both cold and pure, and another, after forming a miniature cascade, passes under the house and through a fish-pond with rocky islets into the river below.

第十報 金谷邸

今いる家についてどう記せばよいかよくはわからないが、日本的な田園風景の世界ではある。家の内にあるもの、外にあるもののすべてが目を楽しませてくれる。これまでの<宿屋>の騒音とは違い、勢いのよい川の流れと小鳥のさえずりが聞こえてくるだけの音楽的な静けさには、本当に心が洗われる。家は簡素ながら出入りのある変わった造りの二階建で、石垣のある壇の上に建っており、石の階段を上っていくようになっている。上手に設えられた庭では牡丹や菖蒲、躑躅が満開で、とても鮮やかである。背後には山が間近に迫り、その裾の方は一面赤い躑躅で覆われている。山から勢いよく流れ落ちてくる沢の一つが冷たくて澄み切った水をこの家に供給している。またもう一つの沢は、小さな作り物のような滝をなしたあと、家の下をくぐり池を通り、下手の方で川に注いでいる。 池には岩の小島があり、魚が泳いでいる。

(完訳 日本奥地紀行I 金坂清則訳)

“日光に滞在して九日にもなるから、もう「結構!」という言葉を使ってもよいだろう。”

Letter 8 (about Nikko)

I have been at Nikko for nine days, and am therefore entitled to use the word “Kek’ko!”
Nikko means “sunny splendour,” and its beauties are celebrated in poetry and art all over Japan. Mountains for a great part of the year clothed or patched with snow, piled in great ranges round Nantaizan, their monarch, worshipped as a god; forests of magnificent timber; ravines and passes scarcely explored; dark green lakes sleeping in endless serenity; the deep abyss of Kegon, into which the waters of Chiuzenji plunge from a height of 250 feet; the bright beauty of the falls of Kiri Furi,…

第十一報  日光

日光に滞在して九日にもなるから、もう「結構!」という言葉を使ってもよいだろう。(中略)
日光とは「日の輝き」の意味である。その美しさは詩歌や絵の形をとり日本中で讃えられている。神として崇められる男体山を主峰としてその周りに折り重なるようにある山々。一年の大半をすっぽりとあるいは部分的に雪に覆われている山々。
すばらしい樹木からなる森。人がほとんど分け入っていない峡谷や山道。無限の静寂の中に眠る暗緑色の湖水。中禅寺湖の水が二百五十フィート落下する華厳の滝の深い滝壺。霧降滝の輝くばかりの美しさ。

(完訳 日本奥地紀行I 金坂清則訳)

所在地 〒321-1434 栃木県日光市本町1-25
Tel. 0288-50-1873
アクセス

<電車+バス>
JR日光駅/東武日光駅から中禅寺温泉/湯元温泉行きバスで「金谷ホテル歴史館」下車。徒歩0分。

<自動車>
日光宇都宮道路日光ICから神橋方面へ
神橋と平行する橋を渡り信号を左折
田母沢御用邸前信号の手前右側

駐車場 レストラン前 8台、国道を挟んで向かい側 8台
入館料 大人 400円  子供 200円(12歳まで)

<団体> 20名以上
大人 320円  子供 160円(12歳まで)
開館時間 4~11月 9:30~16:30
12~3月 10:00~15:00
定休日 4~11月 無休
12~3月 不定休
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